Chansons de geste ~La Canzone di Guglielmo~

そは――騎士達の物語。そして――史詩。



ギョームの歌


41


殿方よ、主の愛にかけてお願いする。
どうしてあなたがたの臥所へ死にに行くことがあろう?
あなたがたの友人は誰のかたきをとるというのか?
ルイ王の国には、もしあなた方がそのような苦境に追いやられたならば、あなた方の息子たちが共に休戦を受け入れようというような者はいない。
砦もとがり杭の柵も彼を守り得ないし、城も塔も古い堀も彼がかれらの剣によって殺されないよう防ぐことはできないだろう。
我々は、生きている限り、自分で自分の仇をうつようにしようではないか」。
彼らは答えた。「仰せのままに、勇敢なる候よ」。
彼らは武器をとり、馬にうちまたがり、
丘を下り、サラセン軍におそいかかった。
精一杯戦いを再開したのだ。
(注意)「ルイ王の国には・・・防ぐことはできないだろう」の部分、書かれていることをそのまま訳してみたが、明確な意味読み取れず。


42


彼らは山からおりて来た。
フランク軍は平原の上に降り立った。
そして彼らのうちで死んだ者、傷ついた者を見た。
誰か、高貴な若者らが傷口をしばり、細ひもでゆわえるのを見た人がいたならば!
腕を怪我した者は槍を中ほどで断ち切り、もって歩けるよう、それを(腕に?)縛りつけた。
ある者は戦場で見つけたぶどう酒を飲み、それの無いものは小川のにごった水を飲んだ。
元気な者は傷ついた者に酒を飲ませ、
主人のいない者は、仲間にそれを与えた。
彼らは生きている者をおいておいて、死んだ者らに敬意を払った。

43


彼らの地の者は700人いた。
足の間に(垂れ下がる)腸を引きずっていた。
脳みそが口からあふれ出ていて
盾から草原へとしたたり落ちていた。
顔を覆っていたが、頬は青ざめていた。
頭についている目はあらぬ方を向いていた。
彼らはうめき、魂を赦す者に対して叫んでいた。
彼らがこの者らを見たとき、悲嘆にくれて言った。
「殿方よ、あなた方はどうなるのであろうか?
この世にはあなた方を治せる医者はいないのだ。

44


「さあ、主の愛にかけて、皆さんにお願いする。
あれらの卑怯なアラブ人らを見よ。
あなた方の兄弟、息子、甥や肉親を殺した奴らを。
彼らは和平を求めもしなければ、休戦にも応じなかった。
我々が生きている限り、死んだ者らの仇を討とうではないか。
聖ステファンも他の殉教者たちもアルシャンの戦場で主のために殺されるこれらの者より優れてはいなかった」。
彼らは答えた。「やろうではありませんか、勇敢なる候よ」。
彼らは馬をとり、その上に乗った。
戦場におもむき、再びサラセン人らを攻撃した。
たいへんな勢いで、切り合いを始めた。
サラセン人のうちの1万5千が倒れた。

45


サラセン人は彼らををおそるべき苦闘のうちに置いた。
1万人のうち100人しか残らなかった。
勇敢な騎士も苦しんだことであろう。
彼は1万人を相手に戦った。
今や、1万のうち、100人しかいなかった。
その実に半数が負傷していた。
そのような状態にヴィヴィアンは追い詰められていった。

 
 



第八話
第十話
戻る