36 そこで騎士ヴィヴィアンは彼に尋ねた。 「我が従兄弟ジラールよ、お前はいつから騎士になったのだ」? 「さっきです。ほんのさっきです」と彼は言った。 「ジラールよ、テバルド殿はどうなったか知っているか」? ジラールは、テバルドをいかにあしらってやったかを、ヴィヴィアンに話した。 ヴィヴィアンは答えた。「友ジラールよ、黙るがよい。 お前の言葉で勇敢な騎士が恥を受けるべきではない」。 37 「ジラールよ、私の右手に来るように。 一緒に行こう。お前の旗を上げたまえ。 もしお前がいれば、私は厳しい攻撃もおそれることはないだろう」。 2人の王の血を引く友は、戦場で合流し、その日勇猛であった(に戦った)。 異教徒らを大混乱に陥れた。 Lunesdi al vespre(月曜の晩祷に) ギョーム伯を欠いた戦いは厳しいものであった。38 ヴィヴィアンは平原を見渡した。 目の前に勇猛な仲間らをみとめた。 フランクの中でも最も勇敢な者らであった。 彼らの多くが地面に横たわっているのを彼は見た。 彼は腕をよじり、髪を髭をかき乱し、涙で顔をぬらした。 鉄腕ギョームのことを思い出し、そして嘆いた。 「ああ、この戦場にいない勇敢なる伯(原文では候)よ、 今日あなたのすばらしい身体は我々と共にありません。 これらの勇者らはそのためにたいへんな痛手を受けました」。 39 「高貴なる一族よ、我らが主の力にかけて、落胆するな、兄弟よ。 我々はここで我らが(原文:我が)主ギョームを待つのだ。 もし彼が来てくれれば、戦いは我々のものだ」。 Lunesdi al vespre(月曜の晩祷に) (しかし)運悪く、戦いはギョームのいないまま始まってしまった。40 三十の角笛が丘の上で呼集を鳴らした。 七百人が歩哨に立った。 戦場で激しく戦ったがために血のりのついていない剣をもつ者はいない。 再び戻るまでには、さらにそれ(剣)をふるうことになるだろう。 ヴィヴィアンは丘の頂きをめぐり、 彼の所領からの三百の騎士を見た。 血まみれの手綱をにぎっていず、 また、朱に染まった鞍にまたがっていないような者はいなかった。 彼らは、馬が踏み潰してしまわないように、 手で自分の腸をつかんでいた。 ヴィヴィアンはそれを見て、彼ら全員に対して呼びかけた。 「兄弟たちよ、お前たちのために私は何をしてあげられよう? この世にお前たちを癒せる医者はいないのだ |