Chansons de geste ~La Canzone di Guglielmo~

そは――騎士達の物語。そして――史詩。



ギョームの歌


16


 ヴィヴィアン殿、この岩に沿って進んでくだされ。
 サラセンの艦隊があなたを見ないようにしながら、谷の方へ我々の部隊を導いてくだされ。
 ギョーム殿を呼ぶことにします。その気になれば彼は戦ってくれるでしょう。

Lunesdi al vespre(月曜の晩祷に)

 ギョーム殿なしに戦うことは致しますまい。

17


 ヴィヴィアンは言った。それは良くない考えだ。
 あなたは彼ら(サラセン軍)を見たし、彼らもあなたを見た。
 もしあなたが動くことがあれば、そればまさに逃亡(以外の何でもない)でしょうな。
 キリスト教は永久に貶められ、異教はさらに一層勢いのあるものとなりましょう。
 戦いなさい、殿よ。我々は勝ちます。保証します。
 ギョームと同じくらいに、あなたの強さを認めさせてやりなさい。
 ゆうべあなたは自身を候(ギョーム)と比較された。

Lunesdi al vespre(月曜の晩祷に)

 ギョームと同じくらいに、あなたの強さを認めさせてやりなさい。

18


 ドラメ王の部下はバイキング船や海用の速帆船に10万いた。
 そして彼が丘の上にいるのを見た。
 飾り鋲の大きな盾で彼と分かった。
 そこで谷の底には彼の部下や友人らが多くとどまっていると知ったのだ。

19

Lunesdi al vespre(月曜の晩祷に)

 サラゴサの地のサラセン人、卑劣な輩は10万だった。
 白の鎖帷子を身につけぬ者はなく、頭にはサラゴサの緑の兜をかぶり、
 金の額覆いには花や帯の模様があった。
 剣を帯び、輝く刃は地面を向いていた。
 良き盾の柄をにぎり、右手には鋭い投げ槍と短槍を持ち、
 駆け足早いアラブ馬にまたがっていた。(直訳:鞍の下にアラブ馬がいた)
 彼らは砂や砂利の上に上陸し、陸地を占領した。
 公テバルドに対し、激しい戦いをしかけた。
 そうして不吉な(悲しい)知らせがもたらされた。

20


 日は明るく、美しい朝であった。
 太陽は輝き、日光は明るく光った。
 異教徒らは古い森を通って下り、彼らの行くところはどの地もが震えた。
 兜には金をはめ込み、彼らの通った森は燃えさかるようであった。
 もし、彼らが馬で走り、跳ねるのを見た人がいたら、恐ろしい(硬い)戦士らと思ったことだろう。
 そのときヴィヴィアンはエストゥルミに彼らの様子を見せたのだった。

 
 



第三話
第五話
戻る